株式会社フォーナウ

事例紹介:ECサイトでオリジナル化粧品が売れるようになるまでにやったこと

簡単に売り出せるという理由で、オリジナル商品をECサイトで通販するケースが増えています。しかし、消費者は知らない商品やブランドについて警戒心を持つ為、オリジナル商品をいきなり販売するのは結構難しいことです。そんな事もあって、インターネットを利用してオリジナル商品を売ろうとトライしているけど、なかなか売れずに苦労している企業からのご相談をよく受けます。

ここでは、弊社がコンサルティングをした、オリジナルブランドの化粧品(元々は業務用商品)をコンシューマーに販売し、新規顧客の売上金額を20倍にするまでに行った事例について説明します。マーケティング戦略構築の際にやるべきことは、業種や業態が変わっても共通の部分が多いので、化粧品・美容業界以外の業界の商品・サービスを販売する場合でも充分に参考になるはずです。


1 ECサイトでのオリジナルブランド化粧品販売の背景・課題



高品質でプロ用として高い評価を受けている基礎化粧品ですが、B2C商材として楽天や、自社ECで消費者に販売してみたもののほとんど売れませんでした。リアル店舗で取り扱っている店は無く、消費者には全く知られていない業務用商品だったからです。そんな無名の基礎化粧品をECサイトで売れるようにすることがこのプロジェクトの課題でした。

自社オリジナル化粧品をインターネットを活用して積極的に消費者に販売し、売り上げを拡大していきたいという意思のもと自社ECサイトの立ち上げは既に完了。しかし、その後どのようにして顧客をWEBサイトに呼び寄せ、どのようなコミュニケーションで販売していくのか全く決まっていませんでした。

1-1 目標は業務用基礎化粧品の消費者への販売

1-2 背景と課題

2 まず最初にやったこと - 徹底的に調査し課題を明確に



先ず、購入者、未購入者の意識・意向、商品、競合を徹底的に分析しました。これまで業務用化粧品として販売してきましたが、エンドユーザーについての情報が全く無かった為、調査は念入りに行っています。先ずは定性調査から始まり、仮説を構築し、仮説検証の為に定量調査を行いました。これらの調査結果を元に基本戦略を策定しました。

2-1 幅広くユーザーの意見を収集する為のインターネットクチコミ情報調査

2-2 社内ヒアリングにより、商品開発背景などを確認

商品開発背景やこれまでの販売状況を明らかにし、USPを設定する際の参考としました。

社内ヒアリング項目
  • 商品開発について:開発背景、拘った点、裏話など
  • ユーザーについて:ターゲット、ユーザープロフィアル、顧客からの意見・要望
  • プロモーションについて:これまで実施したプロモーション、その中で成果の上がったもの

2-3 ユーザーインタビューにより更に深い定性情報を収集

美容サロンなどで既に商品を購入しているユーザーに対しインタビューを行い、美容全般に関する事、基礎化粧品の利用状況、当該商品への意識、満足度などを質問しました。

ユーザーインタビュー項目
  • 美容全般に関すること:美容全般に関する意識、肌の悩みなど
  • 基礎化粧品に関する意識:どんな基礎商品を使ってきたか、ブランドチェンジについて、月額予算など
  • 当該商品について:商品の購入状況、利用状況、満足度、意見・要望など

2-4 ユーザーではない女性の意見を聞くための消費者インタビュー

ユーザーではない女性に、一定期間サンプル商品を使ってもらい、その後インタビューを行って使用感、利用意向などを質問しました。

消費者インタビュー項目
  • 美容全般に関すること:美容全般に関する意識、肌の悩みなど
  • 基礎化粧品に関する意識:情報入手経路、どんな基礎商品を使ってきたか、ブランドチェンジについて、月額予算など
  • 当該商品について:利用実感、満足度(効果、価格、パッケージなど)、今後の利用意向など

2-5 WEBアンケート

インタビューで得た定性データを定量的に検証するために、WEBアンケートを実施しました。

WEBアンケート項目
  • 基礎化粧品を購入する時の行動:情報チャネル、購入チャネル、購入頻度、ブランドチェンジ
  • 基礎化粧品を購入する時の意識:商品選択時に重視すること、デザインに関する意識

3 データ収集後にやったこと - 収集したデータを元に充分なディスカッション




定性データ、定量データを収集した後は、ワークショップを行い、クライアントと共同でデータ分析を行いました。共同作業を行うことで、クライアントとコンサルタントとの間で課題や解決方法が共有化され、プロジェクトの一体感が出るというメリットがあります。

3-1 ワークショップ - 現状課題の明確化

現状課題を明確化し、課題を共有化する為のワークショップを実施しました。女性の美容に対する意識は年代ごとに変化し、同時に基礎化粧品に対するニーズも購買行動も変化することが分りました。肌の悩みを感じていない若い女性にはメッセージが届きにくいことが課題だと分かりました。

ワークショップで明らかになった課題
  • 年代ごとに変化する美容意識
  • 基礎化粧品に対する意識も変化
  • ブランドスイッチの現状
  • ユーザー像
  • 当該商品が持たれている意識

3-2 ワークショップ - 課題解決の方向性

現状の課題を明確にした後、その課題をどのように解決していくのか、課題解決の方向性を定めました。ターゲットを設定し、ユーザー像を明確にする為にペルソナを作成しました。また、ユーザーがロイヤルユーザーになるまでの意識行動、及びコンタクトポイントを整理し最終的にカスタマージャーニーマップとしてまとめました。更に、基礎化粧品という非常に競合の多い市場に参入する為、商品が埋もれてしまわないようにする必要がありました。その為、USPの設定は時間をかけて行いました。その際、メーカー側の都合を押し付けるUSPにならないように配慮しました。

ワークショップで設定した課題解決の方向性
  • ターゲットの設定(30代女性) - ペルソナの作成
  • カスタマージャーニーの設定
  • USPの設定

4 課題解決の方向性を受け具体的施策を立案



ワークショップを実施し、クライアントとの共同作業で課題解決の方向性を定めた後、デザイナー、コピーライター、プランナーがクリエイティブ、及びプロモーションプランなど具体的施策を作りました。

4-1 キークリエイティブ作成

調査分析結果をデザイナー、コピーライターと共有しつつ商品のUSPを表現するキークリエイティブを作成しました。

作成したキークリエイティブ
  • ビジュアル
  • メインコピー

4-2 プロモーションプランニング

プランナーがプロモーションプランをプランニングしました。消費者には知られていない無名の商品なのでどのように認知させ、WEBサイトに流入させるかがプロモーションの課題でした。また、広告費予算をどの程度かければよいのかの目安となる利益シミュレーションを行いました。

プランナーの作業
  • プロモーションスキーム設計
  • ナーチャリング設計
  • 流入施策プランニング
  • リテンション施策プランニング
  • コンテンツ設計
  • 利益シミュレーション

5 実行フェーズで実施した事



実施フェーズではやることがかなり盛りだくさんでした。クライアントに専属のスタッフを何人か用意して頂き、定期的な打合せを繰り返し、やるべきことを確認しながらプロジェクトを進めていきました。

特に力を入れたのは入口商品の開発と販売です。オリジナルブランドの化粧品を販売する時に、特に重要になるのが入口商品です。消費者が気軽に試すことができるサンプル商品を販売し、そこから本商品にコンバージョンさせることで、多くの新規顧客を獲得することが出来ました。

5-1 数値目標(KGI/KPI)の設定

数値目標を設定しないとゴールが曖昧になります。ECサイトでは一般的に売上金額を目標に設定することが多いです。目標数値目標を設定することで、逆算して目標セッション数やUU数などの各指標の目標値も設定することが可能になります。


クライアントからの要望で、全体売上と、主力商品は個別の売上を目標に設定しました。目標数字は、リピート率、リピート顧客売上金額、新規顧客売上金額、CVRなどにブレークダウンしKPIを設定していきました。

5-2 ランディングページ制作

流入施策の入り口となるLPを作成しました。競合のLPを研究し、よい点は真似をしました。また、商品のUSPがより分りやすく伝わるようなストーリーを構築し、そのストーリーに沿って新規訪問者を説得するような形でLPを設計、制作しました。

LPの作成
  • 競合商品のLP調査
  • 購入までのストーリー作成
  • 情報設計(ワイヤーフレーム作成)
  • デザイン

5-3 入口商品

初めての人でも購入しやすくなる入口商品を開発しました。サンプルを使い終わったタイミングで本商品の購入を促すハガキDM送ることにして、そのDMの制作も行いました。

入口商品の作成
  • サンプル商品
  • 入口商品包材制作
  • 同梱チラシ制作
  • 本商品の購入を促すDM制作

5-4 流入施策の実施