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地方創生とアイディアソン

先日、某企業が主催する地方創生アイディアソンのイベントに参加してきました。地方を活性化させて元気にしたいという人達と、首都圏に住む我々が一緒になり、地方が抱える問題を解決するアイディアを出し合おうというイベントです。

夜の8時から始まったイベント。参加者は10名くらい。お酒やつまみも用意されていて、飲みながら、みんなでわいわいアイディアを出し合う感じです。東京の会場と地方の現場は、ビデオチャットでつながっていて、アイディアを出す際に分らないことがある場合はその場でプロジェクトオーナーに直接質問ができます。

2グループに別れてディスカッションをしました。初めにプロジェクトの背景などが説明され、質疑応答があって、その後、よく覚えてないけどディスカッションの時間は40分くらいだったかな?

当日のお題は、西日本のとある地域のこと。地元の人たちが手作りで古民家を改修して図書館を建てたのですが、その図書館に地域の外からも人が集まるようなアイディアを出して欲しいというものでした。

アイディア100本ノックが地方創生につながるのか?

初めて顔を合わせる人達と、地方創生についてあれやこれやアイディアを出し合うのはとても楽しかったのですが、ボクはディスカッションに参加しながら、なんか違和感を感じてました。

なぜなら、そこに参加していることに意義を見出せなかったのです。
「自分がここにいることで何の役に立つのだろう」と。

ボクはその場では、その地域の方が困っている問題を解決したいと本気で考えていました。しかし、良いアイディアを出すにはあまりにも準備不足でした。

そもそも、その地域のことをよく知らないし(オリエンは事前にありましたが)、競合する地域については全く分からない。ましてやどんな人を呼び寄せればいいのかというターゲットも不明。

古民家を改修した手作りの図書館を使って外部の人を呼び寄せようと言われても、出来ることと言えばアイディア100本ノックのみ。そんなやり方で出てきたアイディアは単なる思い付きで何の根拠もないものです。

もしかしたら考えすぎかもしれません。お酒飲んで、わいわい楽しくやって、ネットワークを広げることが目的ならそれでもいいですけどね。

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似たり寄ったりかもしれない政策としての地方創生

地方創生は安倍政権の目玉政策として大きな予算が配分されています。しかし、現状では必ずしもうまく成果を上げているとは限らないようです。

こんな記事がありました。
実践なき「アイデア合戦」が地方創生を潰す

以下引用

アイデアがない人が集める人たちの多くもまたアイデアもありません。何より集まる人たちは、自ら実践していない人が多く、出されるアイデアはどこかで見聞きしたような事例のパクリばかりになってしまいます。しかし、それでも内輪では盛り上がってしまいます。

この記事を書いた方、相当腹に据えかねるものがあるようで、他の記事でもこんな感じで地方創生に関わるコンサルタントを激しくディスってます。今でも、ボクが体験したアイディアソンと似たようなブレストが地方創生の名の下で全国のあちこちで行われているのかも知れません。

このようなブレストには圧倒的に戦略が不足しています。そんな戦略不在のアイディアに実践する価値はありません。

戦略は事実と考察を積み上げて構築するもの。
アイディアとは戦略を踏み台にして、そこから更にジャンプして創りだすもの。
戦略不在のアイディアに特徴的なことがあります。
顧客視点が失われ、独りよがりで単に自分がやりたいものになってしまいます。

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地方創生だって戦略的思考が大事

徳島県に神山町というところがあります。四国山脈の東部に位置した人口5300人ほど山間の町です。
高速インターネット回線の配備を進め企業を誘致し、移住者の増加で全国的に注目されている地域です。友人の会社も神山町にサテライトオフィスを構えています。

インターネットを高速化して企業を誘致するだけなら全国どこでも出来そう・・・と思いますよね。

でも、神山町の考え方はとても戦略的なのです。

まず、雇用がなく、働く場所がないことが過疎化の原因として、その課題を解決する為に人を循環させて産業を創出する戦略をとりました。

人を循環させる為に、企業を誘致し、町の将来に必要だと思う仕事を持った人材をスカウトして移住したもらったのです。インターネットインフラは都市部から地方への人の流れをつくる手段にすぎないのです。

また、神山塾という職業訓練の場を作り、地元の若者が誘致した企業で働けるよう後押ししています。

産業が創出されると、新たな産業が生まれます。移住者が増え、それが更に移住者を呼び、人が循環し産業が産業を生みます。

このような循環により最終的には元々地元に住んでいる人が多く従事している農業の活性化を図ろうとしています。

農林業だけで自立するのは困難と考え、バランスのとれた産業形態を目指したのは戦略です。

今や移住希望者が増え、空家の数が少なくなってきたほどとか。
全国でも珍しい地方創生の成功の影には戦略があったからです。