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バズワードのライフサイクル

マーケティング業界にいると直面するのがバズワードの流行り廃り。

最近だと、コンテンツマーケティング、マーケティングオートメーション、DMPなんかがそうですね。
昔からあるワードだけど、カスタマージャーニーもここ最近よく聞くようになりました。

反対に、DWHとか、データマイニングとか、イベントベースドマーケティングなんて、そんな時代もアリマシタと言うくらい廃れちゃいました。
もしかしたら若いマーケッターは知らない人もいるんじゃないすかね?

ワードがバズる原因はITメディアとかベンダーが騒ぎ立てるからなんですね。
営業の為に恣意的に仕掛けられてるわけです。

バズワード関連の記事が出て、広告が出され、セミナーが行われる。
そんな状況をみて、情報感度の高い企業から問い合わせが入ったり、マーケッターが提案したり、もちろんベンダーの営業も頑張って売って、大手企業の事例がポツポツと出てくる。

実は、あんまり中身がないと全く売れずに廃れちゃうワードもあるし、先進事例の後に他の企業を追随して市場に浸透していくものもある。
お金のある大企業から浸透していく場合が多いので、中小企業が採用するのはもう少し先になります。

マーケティグ業界のバズワードはこんなライフサイクルを繰り返していますが、そのことについて(結構シニカルだけど・・・笑)うまくまとめているサイトがありました。
データ分析とインテリジェンス:バズワードの栄枯盛衰モデル

この図お借りしました
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(出典:データ分析とインテリジェンス)

プライベートDMPは単なるバズワードで終わるのか?

さて、プライベートDMPというワードが広まり始めて2~3年。
最近、こんな記事が公開されました。

ブレインパッド、DMP市場でシェアNo.1に-ITR調査-
http://www.exchangewire.jp/2016/02/19/news-brainpad-dmp-2/

調査によると、DMP市場はかなり急速に拡大しているようで、2014年度には前年度比110.0%増と大幅に成長し、2015年度も48.1%増と引き続き高い伸びが見込まれるとのこと。

ブレインパッドがシェアナンバーワンで、金額シェア41.3%。
導入は150社以上だそうです。

各社で価格がざっくり同じ位とすると、ブレインパッドがシェア41.3%の150社なので、導入企業は全部で350社前後と推計されます。東証一部上場企業が1946社(2016年2月25日現在)だから、まだまだ大手企業の一部に導入され始めたばかりですね。

上の「バズワードの栄枯盛衰モデル」からいくと、DMPは「実績」から「追随」に差し掛かっている最中でしょうか。
こんな状況から考えるとDMP市場はまだまだ拡大していき、単なるバスワードで終わることは無いんじゃないかと予想されます。

話はそれますが、ボクとブレインパッドさんとは、会長の草野さん、社長の佐藤さんが起業される前からのふるーいお付き合い。創業当時のブレインパッドは、五反田の税理士事務所の一室にありました。脱ぎ捨てられたスーツが散乱し、机の上に何故か木の実が散乱してました。あれから、あれよあれよと大きくなって、今や東証一部上場企業になっちゃいました。いやー、すごいっす。

ECサイトでのプライベートDMP活用事例

まだまだ大規模なECサイトが多いDMPの活用ですが、既に導入済のECサイトではこんなことが行われています。

  • 顧客ニーズに最適な商品・キャンペーンを表示させる
  • カスタマージャーニーのステージにあった最適な施策を広告、WEBサイト、メールを訴求
  • 広告クリエイティブのABテスト
  • 人気商品だけではなく、購入確率の高い他の商品をレコメンドしてクロスセル
  • カート落ちしている顧客にアプローチし、購入を促進


  • そして、これらの事例のほとんどが、以下のステップで行われています。

    1. アクセスログデータ、購買データ、顧客データ、広告データなどをDMPで統合
    2. 顧客セグメンテーション
    3. レコメンドエリアでセグメントごとに最適な商品、プロモーションを表示
    4. 効果測定

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    photo by 胖胖豬

    中小規模のECサイトまで浸透するか?

    さて、プライベートDMPが中小ECサイトまで浸透するかどうかは、ふたつの課題があると考えています。

    ■一つ目の課題は価格

    プライベートDMPを利用するにあたって、導入コストとランニングコストが発生します。コストはどのDMPを使うのかとか、どのシステムと連携するのかによって異なるので、あんまり簡単に言うのもどうかと思うけど、誤解を恐れずざっくり言うと導入時に50万~100万(導入支援含む)、ランニングで月額30万~40万くらいが目安かと。この金額を払えるECサイトは割と限られてくるんじゃないかと思います。機能を絞った中小規模向きの廉価版が出たらいいんですけどね。

    ■二つ目の課題は事業規模

    ECサイトにおいてDMPは、上の事例でも挙げたみたいに、「統合したデータをベースにしたレコメンデーション」に使われることが多いですね。でもこのレコメンデーション、扱っているアイテム数が少なかったり、顧客数が少なかったりするとあまり意味がありません。自動じゃなくて手作業でレコメンドした方が効率がよくなっちゃうのです。ニッチ商品やオリジナル商品を扱っている事の多い中小規模のECサイトでは、自動レコメンデーションが必要なほどの規模にはならないんじゃないかと思います。

    一つ目の課題はさておき、二つ目の課題は規模が小さいと必要ないってことなので、なんだか身も蓋もなくなっちゃいましたね。

    あ、でもアクイジション領域のデータとリテンション領域のデータを統合して分析することはとても大事なのですが、DMPを使わなくてもGoogle Analyticsのデータ取り込み機能を使うと分析できます。覚えておいてください。