-shared-img-thumb-PAK25_kinokagekarahyokottoyubiwosasu_TP_V

ものを買わない若者がけしからんのですか?

最近コンサルティング案件の中でも多いのが「若者が商品を買わなくなってしまったのでどうにかしたい」というもの。

・以前と比べて若者がモノを買わなくなった
・今後更に進む高齢化社会
・このままだと市場が縮小する
・市場の縮小と共に売上が減少してしまう
という危機感はどの企業も持っていて、特に以前は若者に支持されていたクルマとか、酒類、雑誌なんかを販売している会社は特に強く持っています。

この様なプロジェクトを行うときによく聞くのが「若者の●●離れ」という言葉ですが、この「●●離れ」にはとても違和感を感じます。

なぜかというと「商品が売れないのは若者が買わなくなったせいだ」と言ってますよね。自分たちのマーケティングは正しいけど若者が買わないのはけしからん!というのは、マーケティング担当としてあまりにも努力が足りないと思うのです。

現場の声が正しいことが多い理由

以前、某自動車メーカーが独身アラサーをターゲットに低排気量・低価格のモデルを開発しまして、その発売プロモーションのお手伝いをちょろっとしたことがあります。

渋谷のクラブに若者をたくさん呼びまして、ドドーンと発売記念イベントをやりました。純粋な日本人のくせに名前がカタカナのDJさんとか、ドンドコドンドコとダンスパフォーマンスするグループとか、そのクルマの世界観を体験できるとかなんとかいう演出で結構お金かけてやりました。でも、実際に発売してみたら購入したのは40代以上のオジサンばかり。あれ?イベント関係ないじゃん・・・。

他にも別の商品の話ですが、男子大学生をターゲットにしたとある商品がありました。そこでキャンパスクイーンを採用したプロモーションを大々的に展開したのです。若者の認知度は上がったものの、大学生にはサッパリ売れず・・・(涙)この場合もやっぱりオジサンが購入してました。オジサンの購買力すげぇな。

実はどちらの場合も、顧客に直接接している販売現場からは「若者はこの商品を買わない」という声が事前に出てました。若者が買わず、オジサンが買うことが分かってからは「な、言っただろ」と。ま、後出しですけどね。

ボクは、販売現場のスタッフの体感をベースにした意見は、かなりの確率で正しいと思っています。「お客さんとこんな会話をしたことがあるのでこう思います・・・。」と言う現場スタッフの意見が、結果的に正しかったことを何度も経験しているからです。

そんなこともあり、我々がマーケティングコンサルのプロジェクトを行うときは、顧客インタビューをとても重要視します。顧客の隠された想いを知るには、顧客の声に耳を傾けることがとても重要だと思います。

-shared-img-thumb-0I9A100015030106yubi_TP_V

顧客をしっかり調べればどうすればよいのかが分かる

最近やったプロジェクトの課題も「以前と比べて若者が買わなくなったので我が社の将来が心配・・・」というものでした。実際は若者が全く買わなくなったわけではありません。若者のロイヤルカスタマーもちゃんと存在してました。

そこで彼らにコンタクトを取りインタビューをしてみました。すると彼らは、ロイヤルカスタマーになるまでに、共通した体験をしていることが分りました。彼らにその商品を使い始めたきっかけについて聞くと、一様に「他のロイヤルカスタマーから推奨されから」と答えたのです。

今まで、その企業は若者に買ってもらおうと、一生懸命売り込んでいたんですね。でも、それはほとんど機能していなくて、若者は他のロイヤルカスタマーに影響を受け、その結果、商品を購入していたんです。

つまり、その企業が行っているマーケティングは、悲しいけれどほとんど機能していなかったのです。そこでこれまでの方針を変更し、先ずロイヤルカスタマーをたくさん増やし、彼らに推奨してもらうことで若者にも買ってもらうという戦略に変更しました。

根本的な話をしちゃうと、若者の購買に対する意識態度の変化により、その商品を欲しいと感じる若者は以前よりも少なくなってしまいました。この事を解決するには、商品のあり方そのものから見直さなくてはなりません。そこには少し時間が掛かりそうですが、ひとますプロモーションは改善されることになりました。